歯周組織再生療法の術後経過
歯周病の進行とは、すなわち歯根を支えている骨が喪失、吸収することに他なりません。
喪失程度によっては、定期的なメインテナンス、クリーニングでも予防できないこともあります。
歯周病そのものを撲滅することはできません。ただただ症状が悪化していくのを待つという状況を改善することができれば、歯の寿命に好影響をもたらします。歯周病の治療とはクリーニング、メインテナンスしやすい環境を整えることにあります。
例えば、深い歯周ポケットが存在する場合はそれを浅い歯周ポケットに改善するといったことも歯周病の治療となります。
歯周病治療
深い歯周ポケット(6mm以上)をそのままにして、メインテナンスをするのは要注意
衛生士さんの歯石とり後も、深い歯周ポケットが残った状態のままですと、通常のブラッシングや定期的なクリーニングを続けていても悪化していく場合がありますので、注意が必要です。
古くから歯周ポケットを浅くするという手法(外科手術)があります。
過去は組織付着療法や切除療法と言って、歯茎を切ったり、骨を削って歯周ポケットを改善する手法が取られてきました。
歯周ポケットが浅くなるのはいいのですが、結果的に歯茎がより痩せたようになり、歯は長くなり、歯の根元が露出することにより、別のトラブルが出現するリスクがあることから、現代では、術式としてあまり用いられなくなりました。
歯周組織再生療法の応用
現在は失った骨を回復させようという試みが多くなされています。歯周組織再生療法というものです。現在といっても、もう50年以上もその歴史はあり、データとしても確立されてきているものなので、安心してください。(歯周病治療(歯周組織再生療法))
骨の再生のメカニズムは割愛致しますが、自分の骨に置換してくれる生体材料や、骨の形成を促す薬剤を用いることでそれが可能になっています。
では、骨はどのくらいで再生してくるのか?個人差はありますが、約1年と考えています。
その経過を症例を交えてご説明致します。
症例から見る歯周組織再生療法の経過
44歳の女性で、定期メインテナンスをしていましたが、メインテナンス期間中も常に出血が確認されました。歯周ポケットも深い状態があり、レントゲンで確認すると、骨の吸収が顕著になってきていました。現段階で治療しておけば、十分に骨の回復が可能であると判断し、再生療法を提示、快諾いただきました。術前から術後の経過をレントゲンで示します。
深い歯周ポケットを骨の再生という形で浅い歯周ポケットに改善できれば、通常のブラッシングや定期メインテナンスで十分に維持できます。
この治療も極度に進行してしまうと、十分な回復は見込めず、抜歯を決断せざるを得ないこともありますので、早めの対策が望ましいと考えています。
歯茎からの出血が続いている、定期検診で深い歯周ポケットを指摘されているなど、些細なことでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
症例詳細
M.T様 | |
主訴 | 定期検診 |
年齢 | 44歳 |
治療内容 | 定期クリーニングと歯周組織再生療法 |
期間 | 外科処置(術後のクリーニングや抜糸は除く) |
費用 | ¥100,000 |
治療のメリット | メインテナンス環境を整える |
治療、治療後のリスク | 外科処置に伴う感染による治癒不全 |
監修者情報
院長:藤尾隆史
- 2003:私立高槻高校卒業
- 2010:大阪大学歯学部卒業
- 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
- 2016~2024:山本歯科クリニック 入職
- 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
- 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業
〒618-0022 大阪府三島郡島本町桜井2-15-8 2F