骨や歯茎が不足している部分へのインプラント治療例(GBRとFGGの応用)

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インプラント治療 2024.5.2

骨吸収が重度に起きている場合、そのままではインプラントを埋入することはできません。なんらかの対応が必要だと考えています。

骨からインプラントの一部がはみ出している状態では、インプラント周囲炎などのトラブルが生じ、場合によってはインプラント撤去の必要性が出てきてしまいます。

インプラントを長く保っていただくためには、骨や歯茎の状態を改善しておくことは必須条件だと考えています。

以前にご紹介した患者様で、歯根破折した状態であったため、結果的に骨や歯茎を失ってしまっていた患者様の治療の続きをご紹介したいと思います。
状態が悪い歯をおいておくことのデメリットのケースの続き)

抜歯後にインプラント処置を前向きに考えていらっしゃたのですが、今後の治療の内容や流れ、スケジュール感を心配されていました。

インプラント治療に要する治療期間(本ケースの場合)

失ってしまった骨や歯茎の造成処置を行う必要がありますので、通常のインプラント治療よりも長い期間がかかります。(インプラント治療の流れも参照ください。)

今回のケースに限っていうと、

①抜歯後の治癒に約2ヶ月

②骨の造成後の治癒に約6ヶ月

③インプラント埋入手術後の治癒に約3ヶ月

④歯肉の造成後の治癒に約2ヶ月

⑤インプラントの被せ物治療に約1ヶ月

約1年半近くかかる旨をお伝えしました。

(状況によっては、より短くなる可能性はございます。今回のケースは最長のケースです。)

治療期間についての考え方

患者様はご自身の状況や治療方針に一定の理解を示していただきました。しかしながら、インプラントは大変だなと思われたのだと思います。

同じ場所に期間を空けるとはいえ、3回外科処置を行いますので、患者様が感じられる苦痛も計り知れないと思いました。

なんとか負担を減らせないかと思案しましたが、無理をして術後のトラブルを一生抱えるリスクと治療期間を数ヶ月減らせるメリットを天秤にかけた時に、前者を優先すべきだと判断したこと、それでもブリッジや入れ歯と比してインプラントに優位性があることを患者様にもご説明させていただきました。

患者様は「時間はかかってもきちんとやって欲しい」と即答されました。

治療のStep By Step

以下にインプラント治療の経緯を写真を用いて示していきます。

抜歯後の治癒

骨を造る処置(骨造成処置 / GBR)

インプラント埋入処置

歯肉造成処置(遊離歯肉移植 / FGG)

最終の被せ物処置

治療を終えて

約1年半の治療を終え、患者様に術前、術後の状態をご報告することができました。

「治療期間はかかったけど、来院回数が思ってたほど多くなかったので、仕事には支障が出なかった。」とおっしゃていました。また、「今回、治療に関する説明がよく理解できたので、あまり不安にはならなかった。」と仰ってもいただき、苦痛な治療ばかりで申し訳ないと思っていたので、私も大変安堵しました。

症例概要

T・M様
主訴抜歯後のインプラント希望
年齢52歳
治療内容骨造成術(ステージドアプローチ) インプラント埋入処置 遊離歯肉移植術
期間1年半
費用骨造成術(ステージドアプローチ):¥150000
インプラント埋入処置:¥300000
遊離歯肉移植術:¥70000 インプラント上部構造:¥150000
治療のメリットインプラントの長期安定に繋がる
治療、治療後のリスク同部に複数回の処置が必要で、治癒期間がかかる

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業