インプラント治療の流れ

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インプラント治療 2024.4.24

歯がなくなってしまった場合にインプラント治療の必要性はよくわかった。けれど、具体的にどんな流れで進んでいくのかよくわからないし、インプラントが入るまで時間がかかると聞いたけど、その間はどうなるの?という不安をよく耳にします。

皆様のお声はごもっともです。

インプラント治療期間

インプラント治療にかかる期間について少し触れたいと思います。

ここでは、通常のインプラント治療、つまり歯を抜いた後、骨や歯茎の治癒を待った後にインプラント治療を行う場合のタイムスケジュールをご説明します。(待時埋入と呼ばれます。)

歯を抜いて約3ヶ月待った後に、インプラント体(歯の根の代わりに相当)を埋入します。

骨や歯茎のボリュームに問題がなければ、インプラント体の埋入手術に移行します。

埋入手術後、約2~3ヶ月待ちます。インプラントと自身の骨とが結合する時間を待っているわけです。

その後、インプラントに接合する人工歯(被せ物)を製作していきます。

結果として最終的な被せ物が装着されるまで約半年程度かかることになります。

インプラント治療期間中、歯はないまま?

その間、歯がない状態で放置しておいて大丈夫なのでしょうか・・・

反対側の歯が伸びてくる(下顎に歯がないのであれば、上顎の歯)、周囲の歯が動くなどのリスクもありますし、複数の歯となると食事もしにくくなります。

ですので、私は、インプラント治療期間中もできるだけ日常生活を苦なく過ごしていただけるように工夫をさせていただいています。

インプラント治療期間中も噛める工夫をする

その事例をご紹介します。

患者様は40代の女性で、前歯部が開咬(上下の前歯同士が接触しない)状態で臼歯が主に強い咬合力の負担を受けており、トラブルを生じておりました。

ここ最近噛むと歯が痛いという訴えがありました。診察をさせていただいたところ、虫歯があり、根にヒビが入っていました。

歯を保存する方法もあるとお伝えしました。しかしながら、仮に今残せたとしても、長期的な寿命はおそらく難しい可能性があることや、その不安な歯をブリッジの支えにすることの危険性も合わせてお伝えしました。

患者様がインプラント治療に感じる不安

患者様はかなり悩まれていました。せっかく治療するなら何度も何度も治療を繰り返したくないという思いから抜歯を選択し、インプラント治療を前向きに考えたいという思いと、未知なインプラント治療への不安で葛藤されていました。

奥歯しか噛んでいないがためにトラブルが生じたわけですから、インプラント治療期間中、反対側でしか噛めないと、反対側にもトラブルが生じるのではないかという不安もあったのだと思います。

一番奥の歯と手前の歯で支える仮のブリッジ(術者が取り外し可能)を製作することで、歯を抜いた後の治癒期間(3ヶ月)とインプラントの埋入手術後、インプラントと自身の骨とが結合する期間(2-3ヶ月)、お食事ができる状態をキープできることをご提示しました。

インプラント治療期間中でも両側で噛める工夫ができることに、少し安心していただけたのではないかと思います。患者様は抜歯とインプラント治療のご決断をされました。

抜歯したその日から、最終的なインプラントの被せ物が入るまで噛める工夫

写真で示していますように、治療期間中ずっと、両側で噛める状態をキープできました。

もちろん一時的なものですから、長く使うことはできません。あくまで、半年程度の治療期間中のみとなります。

最終的にインプラントに人工歯(被せ物)を装着できました。

その後の経過

現在は治療後3年以上が経過しており、良好に経過しております。患者様もインプラントを決断して良かったと安堵されていました。

歯を失ったまま治療を進めることにはリスクがあります。やむを得ない場合ももちろんありますが、極力残っている歯に悪影響を与えない工夫や、日常生活を少しでも快適に過ごしていただける工夫に手間を惜しんではいけないと考えています。

何か少しでもお役に立てれば嬉しいです。お気軽にご相談ください。

症例概要

N.A様
主訴噛むと歯が痛い
年齢44歳 女性
治療内容インプラント治療
治癒期間7ヶ月
費用インプラント埋入手術と被せ物治療:¥900000

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業