大きな根尖部病変を伴う歯の保存に成功した症例

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根管治療 2025.9.24

【初診時の状態】

53歳の女性の患者さんが、咬むと強い違和感があるとのことで来院されました。
レントゲン検査を行うと、問題の歯の根尖部に大きな透過像(黒い影)が認められました。さらに、根尖部の骨吸収は上顎洞の近くにまで及び、骨の一部が破壊されていました。

また、根管の内部形態は過去の治療の影響で本来の形が壊れてしまっており、治療の難易度は非常に高い状態でした。
このようなケースは一般的に抜歯と判断されることも少なくありません

【治療内容】

感染源を取り除くために、**感染根管治療(根管内の清掃・消毒・封鎖)**を実施しました。

1回あたりの治療時間を長く確保し、できるだけ少ない回数で完結する工夫

*治療期間が長ければ長いほど、治療期間中に感染にさらされるリスクが高くなります。

・感染源を徹底的に除去し、十分な消毒を実施

・根管充填にはMTAセメントを使用し、封鎖性と骨・歯の再生をサポート

*MTAセメントは、封鎖力と生体親和性に優れ、特に今回のように根管形態が壊れてしまった難症例に適した材料です。

治療期間は約2週間、治療回数はわずか2回で終了しました。(初回は検査、診断のため除く)

【治療後の変化】

約1年後のレントゲンでは、術前に大きく広がっていた黒い影は消失し、上顎洞近くまで及んでいた骨吸収部分にも新しい骨の再生が確認されました。

患者さんは自覚症状もなくなり、「しっかり噛めるようになった」と喜ばれています。

【まとめ】

この症例は、

  1. 通常なら抜歯と判断されるような大きな病変や根管破壊があっても、適切な治療で歯を残せることがある
  2. MTAセメントを用いた根管治療が難症例の保存に有効である
  3. 短期間・少回数での治療完了することも重要である

ことを示しています。

歯は一度抜いてしまうと二度と元には戻りません。
「抜歯しかないかもしれない」と思う状態でも、最新の材料と技術を用いることで保存できる可能性があります

【当院の姿勢】

藤尾歯科・矯正歯科医院では、

  • できる限り歯を残す治療
  • 長期的に健康なお口を守るための原因療法

を大切にしています。
歯を残せる可能性がある場合には、あきらめず最善を尽くすことをモットーに日々診療に取り組んでいます。

【治療費用について】

治療費用の詳細は、当院ホームページの**治療費用一覧をご覧ください**。

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業