再根管治療について

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根管治療 2024.5.16

虫歯が神経に達しており、ズキズキした痛みを伴う症状がでている場合、歯の神経をとる処置で対応することが一般的です。

この処置を根管治療と言います。

この初めて神経をとる根管治療を抜髄とも言いますが、この処置の成功率の高さは90%近い(すなわち、再発リスクは低い)ということは以前のブログでもお伝えしました。根管治療(初めて神経を取る処置)の重要性

しかしながら、日本の抜髄の成功率は極端に低く、再発率は高いのが現状です。

これらは、治療における原理・原則が遵守されていないことが多く、特にラバーダム防湿を用いた無菌的環境下での処置が疎かになっていることが原因と言われています。

つまり、根の治療の再発は医原性疾患と言っても過言ではありません。(歯医者が作った病気)

根の治療の再発とは、①お口の中の唾液や、歯の表面に付着した細菌が根管治療中に一緒に混入されたり、②複数回かかる根の治療の治療期間が長くなることで、仮の蓋から細菌が侵入したり、③治療後に修復された不適切な詰め物から再び細菌が侵入したり、と様々な形で細菌感染することにより起きます。

根の中の細菌感染により、根の先に膿が形成されます。膿は徐々に増大し、時には骨や歯茎を突き破って出てくることもあります。突き破って出てくる時が最も痛いと言われています。

では、このように再発した場合の治療法は、膿を取ることではなく、膿を生成している、根の中の細菌を除去することが、再根管治療となります。

この根の中の細菌を除去し、無菌化することは不可能です。なので、成功率が低いのです。

あくまで、炎症を抑える程度に細菌を減少させ、不活化するというのが目標になります。

根の治療における原理・原則は抜髄の時と変わりません。それらを遵守すれば、治るものもあります。

再根管治療症例

術前・術後の比較

本症例ではするべきことを行い、治療回数も2回で終えています。先に述べた治療期間中の感染を防ぐためです。幸い成功に終わりました。

しかしながら、一度人の手が加わっている根管は厄介になっていることもあります。

根管が潰れていたり、変な方向に突き抜けいたり、器具が中で折れて残っていたり、元々の根管が複雑な形態をしているからです。根管治療(破折ファイル除去)症例

再度の根の治療で治癒しなければ、外科的に根尖切除をすることも考えなければなりません。根管治療(外科的根管治療;歯根端切除術)

根の治療は歯の保存を左右するとても大事な治療です。しかしながら疎かにされがちな治療で、根の治療が難しいということで抜歯と診断される場合も少なくありません。

繰り返しになりますが、根の治療の再発の多くは医原性疾患なのです。

歯がズキズキ痛い、何度も根の治療をしているが治らない、お困りの方は一度ご相談ください。

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業