【歯が原因の蓄膿症?】意外と知らない根管治療との関係
こんにちは。今日は「蓄膿症(ちくのうしょう)」と「根管治療」の関係についてお話しします。鼻の奥が重たい感じがする、鼻づまりが治らない…。そんな症状、実は歯が原因かもしれません。
蓄膿症とは
「蓄膿症」は、正式には慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)といいます。副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の周りにある空洞で、上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞の4つがあります。
その中でも特に問題になりやすいのが「上顎洞(じょうがくどう)」。上の奥歯のすぐ上に位置しており、実はこの上顎洞の炎症と、歯が原因で起こる「歯性副鼻腔炎」に関係がある可能性があるのです。
歯が原因で蓄膿症になる?
特に、上あごの奥歯(第1・第2大臼歯)の根の先は、上顎洞と非常に近いため、歯の根の感染がそのまま副鼻腔に広がることがあります。
このような場合、いくら鼻の治療(点鼻薬や抗生剤)をしても、原因となる歯を治療しなければ改善しません。
根管治療で蓄膿症が治る?
根管治療(神経の治療)は、歯の根の中の感染を取り除く治療です。(マイクロスコープを用いた精密根管治療)
歯性の蓄膿症(歯性上顎洞炎)の場合、原因となっている歯の根管治療を行うことで、炎症が治まり、鼻の症状も改善することが多いです。
【治療の流れ】
- 問診・レントゲン・CTによる精密診断
- 根管内の感染除去
- 消毒・薬剤の充填
- 必要に応じて被せ物やクラウンの装着
歯の根の中が完全に清潔になり、密閉されれば、自然と上顎洞の炎症も引いていくことが期待されます。
歯性かどうかを見極めるには?
耳鼻科で「副鼻腔炎ですね」と診断されても、以下のような特徴がある場合は歯が原因の可能性があります。
- 上の奥歯がしみる・痛む
- かむとズキッとする
- 過去に神経を取った歯がある
- 鼻水に悪臭がある
- 片側だけの鼻詰まりや頬の痛み
耳鼻科では原因が特定できない場合でも、歯科でのCT検査により根尖病変(根の先の膿)が見つかることがあります。
放置するとどうなる?
放っておくと、膿が上顎洞にたまり続け、慢性的な炎症となります。
また、再発を繰り返すことで、歯を抜かざるを得なくなったり、外科的な手術が必要になることもあります。
歯科と耳鼻科の連携が大切
歯性副鼻腔炎の場合、歯科と耳鼻科が連携して治療することが理想的です。
根管治療を行っても改善しない場合、耳鼻科での上顎洞洗浄や内視鏡手術が必要になることもあります。
まとめ
- 蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は、歯が原因で起こることがある
- 上の奥歯と上顎洞は非常に近く、感染が波及しやすい
- 根管治療で原因を除去すれば、鼻の症状も改善する可能性がある
- 耳鼻科と歯科の連携診療が重要
最後に
「歯は痛くないけど、鼻がスッキリしない」「いつも同じ側だけ鼻がつまる」
そんなときは、一度歯科での精密検査を受けてみてください。
意外なところに原因が隠れているかもしれません。
監修者情報

院長:藤尾隆史
- 2003:私立高槻高校卒業
- 2010:大阪大学歯学部卒業
- 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
- 2016~2024:山本歯科クリニック 入職
- 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
- 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業
〒618-0022 大阪府三島郡島本町桜井2-15-8 2F