【歯が原因の蓄膿症?】意外と知らない根管治療との関係

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歯科コラム 2025.6.2

こんにちは。今日は「蓄膿症(ちくのうしょう)」と「根管治療」の関係についてお話しします。鼻の奥が重たい感じがする、鼻づまりが治らない…。そんな症状、実は歯が原因かもしれません。

蓄膿症とは

「蓄膿症」は、正式には慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)といいます。副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の周りにある空洞で、上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞の4つがあります。

その中でも特に問題になりやすいのが「上顎洞(じょうがくどう)」。上の奥歯のすぐ上に位置しており、実はこの上顎洞の炎症と、歯が原因で起こる「歯性副鼻腔炎」に関係がある可能性があるのです。

歯が原因で蓄膿症になる?

特に、上あごの奥歯(第1・第2大臼歯)の根の先は、上顎洞と非常に近いため、歯の根の感染がそのまま副鼻腔に広がることがあります。

このような場合、いくら鼻の治療(点鼻薬や抗生剤)をしても、原因となる歯を治療しなければ改善しません。

根管治療で蓄膿症が治る?

根管治療(神経の治療)は、歯の根の中の感染を取り除く治療です。(マイクロスコープを用いた精密根管治療
歯性の蓄膿症(歯性上顎洞炎)の場合、原因となっている歯の根管治療を行うことで、炎症が治まり、鼻の症状も改善することが多いです。

【治療の流れ】

  1. 問診・レントゲン・CTによる精密診断
  2. 根管内の感染除去
  3. 消毒・薬剤の充填
  4. 必要に応じて被せ物やクラウンの装着

歯の根の中が完全に清潔になり、密閉されれば、自然と上顎洞の炎症も引いていくことが期待されます。

歯性かどうかを見極めるには?

耳鼻科で「副鼻腔炎ですね」と診断されても、以下のような特徴がある場合は歯が原因の可能性があります。

  • 上の奥歯がしみる・痛む
  • かむとズキッとする
  • 過去に神経を取った歯がある
  • 鼻水に悪臭がある
  • 片側だけの鼻詰まりや頬の痛み

耳鼻科では原因が特定できない場合でも、歯科でのCT検査により根尖病変(根の先の膿)が見つかることがあります。

放置するとどうなる?

放っておくと、膿が上顎洞にたまり続け、慢性的な炎症となります。
また、再発を繰り返すことで、歯を抜かざるを得なくなったり、外科的な手術が必要になることもあります。

歯科と耳鼻科の連携が大切

歯性副鼻腔炎の場合、歯科と耳鼻科が連携して治療することが理想的です。
根管治療を行っても改善しない場合、耳鼻科での上顎洞洗浄や内視鏡手術が必要になることもあります。

まとめ

  • 蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は、歯が原因で起こることがある
  • 上の奥歯と上顎洞は非常に近く、感染が波及しやすい
  • 根管治療で原因を除去すれば、鼻の症状も改善する可能性がある
  • 耳鼻科と歯科の連携診療が重要

最後に

「歯は痛くないけど、鼻がスッキリしない」「いつも同じ側だけ鼻がつまる」
そんなときは、一度歯科での精密検査を受けてみてください。
意外なところに原因が隠れているかもしれません。

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業