歯を失ったまま放置すると、どうなるか知っていますか?

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矯正治療 2025.7.27

見えないところで、口の中はどんどん悪化します。

「奥歯が1本抜けただけだから、しばらく放っておいても大丈夫」
そんなふうに思っていませんか?


◆術前:歯がない状態を放置した結果…

今回の患者様は70歳の女性
歯を失ったあと、長期間そのままにしていたところ、隣の歯が前方に大きく傾き、噛み合わせのバランスも大きく崩れてしまっていました

問題点:
・傾いた歯の影響で、補綴(ブリッジやインプラント)に必要なスペースが消失
・噛み合わせが乱れ、しっかり噛めない状態に
・他の歯にも力が偏り、負担が増していた


◆術中:上下で部分矯正を実施

~「元に戻す」のではなく、「より良い位置」へ導く~

矯正治療というと、「傾いた歯を元の位置に戻す」と考えがちですが、必ずしも“元の位置=正しい位置”とは限りません。

本症例では、
✅ 噛み合わせのバランス
✅ 補綴スペースの確保
✅ 歯の長期的な安定性

これらを総合的に評価し、理想的な位置に歯を動かすための部分矯正を上下顎に施しました。
動かしたい歯・動かしたくない歯を正確に見極め、オーダーメイドで矯正装置を設計しています。


◆術後:補綴スペースと噛み合わせの回復

約6ヶ月の部分矯正により、補綴に適したスペースが確保され、噛み合わせのバランスも改善されました。

結果:
✅ 無理なく補綴治療が行える環境を整備
✅ 噛み合わせが安定し、しっかり噛めるように
✅ 長期的な咀嚼機能と審美性の維持が可能に


🦷歯の欠損放置は「年齢とともに大きな問題」になります

歯が抜けた直後は特に不自由を感じなくても、数年〜十数年後にトラブルとなって現れてきます

特に高齢になると、歯や骨の状態が変化し、
「スペースがない」「噛み合わせがズレている」ことで、治療自体が難しくなるケースも。


結論:放置による影響は、健康だけでなく“家計”にも及びます

歯を失ったまま放置してしまうと…

矯正治療が必要になる
骨の吸収が進んで、インプラントが難しくなる
ブリッジがかけられず、入れ歯しか選択肢がなくなる
他の歯も次々に悪くなり、治療費がかさんでいく

その結果、将来的に必要な治療の範囲も費用も大きくなってしまうことが少なくありません。

つまり、
「今は大丈夫」と思って先送りにするほど、
将来的な健康と家計の両方にダメージを与える可能性が高くなるのです。


年齢に関係なく、今できるベストな選択を

今回のように、70歳であっても、状態に応じた部分矯正でしっかりと改善できるケースは多くあります。
重要なのは、「今、自分の歯にどんな選択肢があるか」を知ることです。

「もう歳だから…」とあきらめずに、
ぜひ一度ご相談ください。あなたの歯の未来は、今日の判断で大きく変わります。

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業