インプラント、被せ物の総合治療例(咬合再構成)

  • Top
  • インプラント、被せ物の総合治療例(咬合再構成)
セラミック治療(被せ物) 2024.7.10

左下(レントゲン像では向かって右側)に違和感があるとのことで来院された62歳の女性の患者様です。

左下には、上下の間の隙間がなく、入れ歯やインプラントを入れる隙間がなかったので、手前の歯から後ろに伸ばしたようなブリッジがを入れていらっしゃいました。

手前の歯にとっては負担過剰で、歯の根元から折れていたような状態でした。残念ながら保存することは叶いませんでした。

そして抜歯をするとなると、一気に左の奥歯はなくなり、左側では噛めなくなります。

すでに、たくさんの歯が治療されており、現状のままでは、年齢とともに口腔内の崩壊が加速することが推察されました。

全体の検査を進め、問題点を洗い出し、今後起こりうるリスクを知り、解決しておくことの重要性をご説明させていただきました。

ご両親が歯でお困りだった様子を目の当たりにしてきたこともあり、将来的なお口の健康や、体の健康に不安を感じていらっしゃったのか、全体の検査を進めて欲しいとのことでした。

当院では、虫歯の検査、歯周病の検査、噛み合わせと力の検査、過去の治療の検査を行い、今起きている病気の原因、今後に起こり得るリスクを分析しています。

そして、原因がわかれば、今後起こり得ることが予測できれば、本当に必要な治療が見えてくるわけです。

虫歯の検査と分析

歯周病の検査と分析

噛み合わせと力の検査と分析

今回の患者様の場合、被せ物の噛む場所、面も著しくすり減っていることからも、この方の場合、食いしばり、歯軋りがとても強く、その力によって歯を破壊しているような状態です。

総合リスク分析

患者様のこれまでの治療や生活のお話を聞かせていただいた内容も踏まえると、この患者様の病態を以下のようにまとめました。

『過去の食生活習慣が原因で虫歯のリスクが非常に高く、多数歯にわたり治療を繰り返した。強い食いしばり、歯軋りにより、歯はすり減り、最後方臼歯は補綴修復が困難であったり、咬合干渉により歯根破折を起こし、抜歯に至った可能性がある。そして、歯を失った部分を放置したり、適切な処置が行われなかったことにより、噛み合わせも病的にずれていき、今後も歯を失う可能性が高い状態であると判断しました。』

患者様はこの経緯とリスクにすごく納得されており、できる限りの予防と治療をしたいとのことでした。

治療計画

保険治療も活用しながら、最大限の効果を得る治療計画を立案しました。

歯周外科処置4箇所、インプラント2本、被せ物治療16本、詰め物治療7本を行うこととなりました。

最終治療結果

以下は治療の経緯と最終の治療結果です。

治療後5年以上が経過していますが、現在も良好に経過しています。

重要なことは、なぜ今の状態になったのかを突き止める、原因追究とそこから起こり得るリスクを分析することです。原因がわかれば対策を立てることができます。そして優先順位をつけることができます。

お口の健康を守る上で本当に必要なことを提案させていただけると考えていますので、検診や治療に不安を感じていらっしゃる方はどうぞお気軽にご相談ください。

症例概要

T.M様
主訴噛んだ時に左下に違和感がある
年齢62歳 女性
治療内容総合治療(インプラント治療、被せ物治療、根管治療、歯周外科治療など)
期間約2.5年
費用・歯周外科処置:4箇所 (¥70000/一箇所)
・インプラント治療:2本(¥450000/本)
・被せ物治療:セラミック:10本(¥140000/本)  保険治療:6本
・詰め物治療:保険治療:7本
治療のメリット一度しっかり治しておけば、大きく崩壊することは今後ないと思われる。
しかしながら、メインテナンスは必要である。
就寝時のナイトガード(マウスピース)の装着は必要

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業