他院で「外科矯正が必要かもしれません」と言われた開咬症例

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矯正治療 2026.6.30

外科手術を行わずに治療を完了した一例


「歯並びのせいであまり笑えない、口元も気になる」

36歳の女性患者さんが、このようなお悩みで来院されました。

以前に相談された歯科医院では、

「かなり難しい症例なので、外科矯正(顎の手術)が必要になるかもしれません」

と説明を受け、不安を感じておられました。

もちろん、外科矯正は非常に優れた治療法であり、骨格的な問題が大きい場合には第一選択となることも少なくありません。

しかし、患者さんはできれば手術は避けたいという希望をお持ちでした。

そこで当院では、精密検査を行ったうえで、「手術を行わずに矯正治療でどこまで改善できるか」を慎重に検討しました。


この症例の難しさ

この患者さんは

  • Ⅱ級咬合
  • ハイアングル
  • 開咬(前歯が噛み合わない)

という特徴を持つ、矯正治療の中でも難易度の高い症例でした。

このような症例では、

  • 前歯が再び開いてしまう(後戻り)
  • 咬み合わせが安定しにくい
  • 治療期間が長くなる

などのリスクがあります。

そのため、治療開始前には

  • 抜歯が必要になること
  • 後戻りの可能性
  • 保定装置をしっかり使用する必要があること

などを十分にご説明し、ご納得いただいた上で治療を開始しました。


大切にしたのは「歯並び」だけではありません

矯正治療で重要なのは、

歯をきれいに並べることだけではありません。

奥歯がしっかり噛み合い、

その上で前歯が自然に機能する状態を作ることが、長期的な安定につながります。

治療では、

  • 抜歯スペースを利用した歯の移動
  • 奥歯の咬み合わせの確立
  • 前歯の位置と咬み合わせの細かな調整

を段階的に行いながら治療を進めました。


治療後

治療終了時には、

  • 前歯の開咬は改善
  • 歯列全体が整い
  • 自然な笑顔になり
  • 咬み合わせも安定した状態

まで改善することができました。

患者さんにも、「思い切って治療を受けて良かった」と大変喜んでいただくことができました。



難しい症例だからこそ、治療方法は一つではありません

矯正治療では、

「外科矯正しかありません」と言われることもあります。もちろん、本当に外科矯正が最善となるケースもあります。

一方で、患者さんのご希望や骨格・歯の状態によっては、手術を行わない治療が可能な場合もあります。

大切なのは、「どちらが正しいか」ではなく、患者さんにとって最も納得できる治療法を一緒に考えることです。

当院では、メリットだけでなくリスクや限界についても丁寧にご説明した上で、患者さん一人ひとりに合った治療計画をご提案しています。


症例概要

  • 患者:36歳 女性
  • 主訴:歯並び・見た目が気になる
  • 診断:Ⅱ級ハイアングル・開咬症例
  • 治療内容:抜歯を伴うワイヤー矯正
  • 治療期間:慎重に咬み合わせを確認しながら治療を進め、保定へ移行
  • リスク・副作用:疼痛、歯根吸収、歯肉退縮、虫歯・歯周病リスク、後戻り、保定装置の継続使用が必要

このブログで伝えたいこと

この症例の一番のポイントは、「外科矯正を回避したこと」ではありません。

患者さんの希望を尊重しながら、リスクを共有したうえで、機能と見た目の両立を目指した治療計画を立てたことです。

難症例ほど、治療法は一つではありません。まずは現在のお口の状態を正確に診断し、ご自身に合った選択肢を知ることが、納得のいく治療への第一歩だと考えています。

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業