歯の神経を取るのか、保存するのか Part1

  • Top
  • 歯の神経を取るのか、保存するのか Part1
根管治療 2024.10.6

歯の神経をとる治療を抜髄といいます。

一方で、神経を残す治療を生活歯髄温存療法と言います。

正確には、虫歯などの原因で、歯の神経(歯髄)に細菌感染が及んでいる部分の神経を除去し、神経の活性(血流)に問題がないと判断された神経は保存をするという治療です。

一部の神経を除去し、大部分の神経を残すといったイメージです。

神経を残す治療は患者様にとって魅力的に感じると思います。

ここで、問題提示をさせていただきたいのですが、歯髄(神経・血管)を残すメリットは一体なんなのでしょうか。

歯髄は歯への栄養や歯の感覚を司っています。歯髄を取ることは、細菌感染への抵抗性や歯の知覚(痛みによる反射防御機構)を失うことになります。これは生命維持機能としてとても重要な機能です。

なので、歯の痛みで苦しみたくないので、予防的に歯の神経を取るといったことは非常にナンセンスな話です。

こんな話も聞いたことはないでしょか。

「歯の神経をとると、栄養が行き届かなかくなり、枯れ木のように歯が脆くなり、歯根破折を起こしやすくなり、歯を失うリスクが上昇する」

これは半分正しく、半分間違った情報です。

神経をとった歯は、歯根破折などが原因で抜歯に至るリスクは上昇しますが、適切に神経を取った歯は枯れ木のように脆くなるわけではありません。

では、なぜ、歯根破折を起こしやすくなるのか、、

それは神経を取るくらい大きな虫歯があり、その虫歯をとるために、多くの歯を削除し失ってしまい、歯の強度が落ちたからです。これはすでに1989年に解明されていたことなのです。

つまり、大きな虫歯が歯を失う原因なわけです。理想的には、虫歯にならない、再発させないことが重要です。

ましてや神経付近に達する大きな虫歯になっていること自体がとても大きな問題で、神経を残す残さないの課題は次の問題だと考えます。

とはいえ、大きな虫歯になり、神経付近に達している場合はどのように対応するかということも、直近の解決したい問題です。

適切な診査、診断のもと、神経を保存できるかどうか判断します。神経を残す、あるいは取るにしてもその後に適切な修復を行い、虫歯の再発を最大限防ぎます。

これについては、別ページで解説させていただきたく思います。

こちらのページもご参照ださい。(https://fujio-dc.com/root-canal-treatment/

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業