根管治療(初めて神経を取る処置)の重要性

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根管治療 2024.4.5

皆様、こんにちは。藤尾歯科・矯正歯科医院の藤尾です。

今回は歯の保存、特に根管治療について触れたいと思います。

虫歯が大きく、神経の深くに触っていることがあります。“何もしなくてもズキズキ痛い”、“冷たい、温かい物がしみて、尾を引くようなジワーっとした痛みがある”などが、その兆候です。

この痛みは根管部の神経を含む血管に炎症が波及している状態で、細菌感染はない、もしくは一部に細菌感染があることが多いです。

多くの場合、神経をとる処置を行います。この神経をとる処置はとても重要で、かつ繊細です。

根管治療の成功率

根管治療の成功率を見ていただくと、初めて神経をとる処置はかなり高い成功率(80~90%)です。(初めて根管治療をして、再度根管治療をする必要性は10%ということです。下に示すのは世界的なデータです。)

にも関わらず、

 『一度治療した根の先が膿んできて、再度根管治療をしましょう。』

 『根の先の膿が大きく、腫れも引かないので、抜歯ですね』

と言われたことはありませんか。

日本の根管治療の現状

日本の根管治療の成功率は30~50%と言われています。日本の再治療率はかなり高く、先進国の中でもかなり遅れていると言えます。

本来成功率の高い根管治療で、なぜこれほど再発率(失敗率)が高いのか、、、

それは、根管治療において守るべきルールが保険適応とされていないからです。

 守るべきルールは、①感染の予防、②感染源の除去、③再感染の防止です。

①の一つはラバーダム防湿、歯の表面の消毒を行うこと

②は様々な器具を用いて(マイクロスコープやCTなど)、感染源の除去をすること

③は根管治療後の修復処置が適切であること

これらのルールを守れば、根の治療の再治療は避けることができます。

再治療を避けることができれば、歯の長寿命も達成しうるわけです。

ですので、虫歯の歯の神経を初めてさわる場合は、上記の要件を満たしている治療が重要と考えます。

根の治療の重要性はあまり知られていませんが、歯の保存においてはとても大事なことなので、この記事が、皆様の歯の健康を考え直してみていただくきっかけになれば幸いです。

根管治療症例

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業