歯冠長延長術で適切な被せ物処置を行う

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歯科コラム 2024.9.20

外れにくい被せ物をするために、前後の被せ物と連結固定しているケースをよく見かけます。

写真にありますように、特に奥歯でそれがなされていることがあります。

連結したから安定するというのは大きな誤解です。

多くの場合、どちらかがくっついていて、どちらかが外れていることが多いのです。

完全には外れてこないので、患者様自身としては、特に自覚症状がありません。

しかしながら、外れている側の被せ物の中では、細菌が侵入し、虫歯が進んでいきます。

症状がある頃には、かなりお大きな問題になっていることが多いのが実際です。

ですので、被せ物をする場合は、できるだけ連結することなく、単独で一つの歯として、被せ物を作るべきだと考えています。

ここで一つの疑問があるかと思います。

別に患者様自身が連結して欲しいと言ったわけではなく、我々歯科医師側から、そのように言われたので従っただけだ、と思われるかと思います。

単独で被せ物をすると、外れてしまうので連結したわけですから、単独で被せ物をすることも問題があるわけです。

そのような場合にどのように対応するのか、、

歯冠長延長術という手技を用いて対応をします。(クラウン(被せ物)の長持ちにつながる歯冠長延長術

まずは、術前と術後の結果を見ていただきたいと思います。

写真(左)は被せ物を外したところの写真ですが、細菌が入り込んで、一部黒くなっています。

一番奥歯は歯茎から出ている歯の高さ(歯冠長)が非常に短い状態です。

この状態で被せ物をしてもすぐに取れてしまいます。例えていうなら帽子を浅くかぶっている状態と同じだからです。

歯冠長延長術の実際

歯冠長延長術とはその名の通り、歯の高さ(歯冠長)を伸ばす(延長)処置です。

具体的には、歯茎の切開を行い、歯を支えている一部の骨を削除します。そして再び歯茎を縫い合わせて終了です。

約1ヶ月半ほどの治癒期間を待ち、最終的な被せ物を装着できる状態になります。

術前・術後

監修者情報

歯科医師:藤尾隆史

院長:藤尾隆史

  • 2003:私立高槻高校卒業
  • 2010:大阪大学歯学部卒業
  • 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
  • 2016~2024:山本歯科クリニック 入職 
  • 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
  • 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業