被せ物治療の保険治療と保険外治療の違い(長期経過症例から言えること)
保険治療と保険外治療を選択される基準はございますか?
また医院によっても保険外治療の費用に差があると思いますが、この差はどこにあるのでしょう。
見た目に関わりそうな場所には、白くて、自然美を求めてセラミック治療を考えられるかもしれません。奥歯は金属でも見えないし、保険治療で費用を抑えようと考えられているのではないでしょうか。つまり材質の差が大きいと思われているかもしれません。
実は、材質の差のみが保険治療と保険外治療の違いではありません。
材質の差だけであれば、上記の選択基準で問題ないと思いますし、皆様の価値観に応じて選んでいただければと思っています。
しかしながら、重要なポイントは適合精度の差、形態の差、材質の差と考えています。
この3つの項目の差が、被せ物治療をした歯の寿命の差に大きく影響します。
ここでは、適合精度について触れていきたいと思います。(形態や材質については改めてお話ししたいと思います。)
適合精度について
削った歯と被せ物や詰め物がピッタリ合っている状態を適合精度が良いと表現します。
詰め物や被せ物の製作工程
①虫歯などの汚染された部分を削除し、被せ物や詰め物が入るように歯の形を整えます。
歯科技工士さんが製作しやすいように歯科医師が形成を行います。
②その歯の状態を歯科医師が、正確に印象します。(型取り)
③歯科技工士さんが、型取りから模型を起こし、被せ物や詰め物を製作します。
「削ったところにピッタリ合わせる」という単純で簡単なように聞こえますが、この歯科界でもっともハードルが高いテーマのひとつと言ってもよいと思います。
職人芸と言っても過言ではなく、全ての技工士さんができることではありません。全ての過程で緻密な作業が求められます。
当院ではここの部分に手間暇をかけています。そしてその価値があると考えているからです。
精密な印象(型取り)や模型作り、マイクロスコープ(顕微鏡)を用いた作業などなど、全ては歯の長寿命のために、歯科医師、歯科技工士のこだわりが詰まっています。
被せ物治療が長期に渡って健康な状態を維持できれば、削って治すしかない歯の治療に終止符を打つことができます。
これはセラミック、金属などの材質とは関係ありません。製作してくださる歯科技工士さんの技術力がとても重要なのです。セラミックでも適合精度が悪ければ後々トラブルになります。
見た目の美しさだけではなく、見えない中身にもこだわることがとても大事なのです。
良い適合精度の被せ物の長期経過症例
治療前から治療直後
治療後13年経過中
全く問題なく、健康状態を維持
今では、「この技工士さんに被せ物を作ってもらいたい!!」と患者様からリクエストが来る程です。私自身もこの専属の技工士さんにお願いしたいと思っています。
もちろん歯を削るような状況にならないに越したことはありませんが・・・
最後にこれらの作業を支えてくださる歯科技工士さんには大変感謝しますと共に、敬意を表します。いつもありがとうございます。
これからも歯科技工士さん方の知識と技術を最大限活かしていただけるよう、患者様のより良い口腔健康に寄与できるよう頑張っていきたいと思います。
監修者情報
院長:藤尾隆史
- 2003:私立高槻高校卒業
- 2010:大阪大学歯学部卒業
- 2015:大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴
- 2016~2024:山本歯科クリニック 入職
- 2017~2024:大森歯科医院 非常勤勤務
- 2024:藤尾歯科・矯正歯科医院を開業
〒618-0022 大阪府三島郡島本町桜井2-15-8 2F